品ぞろえ計画(アソートメントプランニング)
ファッション、ラグジュアリー、アウトドア、家電などのブランドや小売企業にとって、品ぞろえ計画は収益を上げるために重要なものです。すぐれたデザインや完璧な商品開発も重要ですが、真の課題はもっと早い段階のプランニングから始まっています。例えば、商品自体のポテンシャルが高くても、販売する場所やチャネルが不適切なことで、販売機会を逸したり、大幅な値引きを余儀なくされることもあります。また販売する数量や価格設定を誤ると、最悪の事態を招く可能性もあります。
品ぞろえ計画は、経営層から業務部門、物流、サプライチェーン、そして企画担当者、MD、バイヤーにまですべての人にとって大きな課題であり、賭けでもあります。
各ラインで商品の数量をうまく調整し、完璧な品ぞろえを用意できれば、商品を適切な場所とタイミングで販売することができます。“お客様のニーズにぴったり合った数量を提供すればよいだけ”と考えると、至ってシンプルに見えます。
しかし実際には、大企業ですら日々この課題に頭を悩ませています。代表的なファッション小売企業Guess®での実例をご紹介します。小売と卸売を行うGuessは、複雑な商品展開と何千もの商品、SKUを大量のスプレッドシートで管理しており、リアルタイムのデータに簡単にアクセスして共有できる環境もなかったため、品ぞろえ計画にいつも苦戦していました。しかし、わずか1年足らずで3,000万ユーロのコストを削減することができました。Guessはどのようにしてこれを実現したのでしょうか?オムニチャネル時代における最新のプランニングソリューションについて、詳細をご覧ください。
正しいデータにアクセスできるだけではなく、情報をそのまま活用できることが重要なのです。企画担当者やバイヤーが、リアルタイムのデータを活用することで、シーズン中でも的確な判断を下して、過剰在庫や 無理な値引き、商品の売れ残りを防止することができます。
手作業によるポートフォリオ管理からの脱却
多くのブランドや小売企業では、幅(商品のカテゴリ数)と深さ(各カテゴリ内のバリエーション)の両方を使って商品レンジを定義していますが、店舗の状況など他の要因についても考慮する必要があります。店舗数や、各店舗のスペースはどうなっているのでしょうか?地域や立地、形態に応じた適正な配分はどう決めればよいのでしょうか?
地域性については、その土地の文化や人口に基づいて、売れ筋の商品は異なります。また、購買者のペルソナも重要な要素です。消費者がどのように商品を選択し、どこで購入するか(オンライン、店舗、クリック&コレクトなど)は、年齢、所得水準、生活スタイルなどのペルソナに関連しています。
小売業界が日々変化する中で、企画担当者やMDは次のような様々な要素を考慮する必要があります:
- 消費者の嗜好
- 地域特性
- チャネルのバリエーション
- 季節的な変動
またMDは品ぞろえを用意する際に、これらを考慮する必要があります。
- 会社の目標に沿ったラインナップ
- 在庫の適正化とそれに伴う経費の削減
- 過剰在庫に対応するための値引きの削減
- 絶えず変化する顧客の購買パターンを把握して予測
プランニングソリューションを導入すれば、これらの情報を一元管理して、最初から最後まですべてのプロセスを簡素化できます。今回は、企画担当者、MD、バイヤーが抱える主な課題と、ソリューションを活用して品ぞろえ計画の問題を克服する方法についてご紹介します。
顧客の購買パターンを分析
品ぞろえ計画の担当者は「顧客はどのような人か」という疑問を投げかけ、どこで何を買うかを詳細に調べて、顧客ベースに関する新たな情報を導き出します。そのためには、消費者のペルソナと購買に利用されるチャネルを分析する必要があります。消費者のニーズは様々で、求める商品もそれを購入する場所も人によって異なります。
また商品の季節性も、品ぞろえ計画を練る際の重要なポイントです。現在では多くの企業が、行楽シーズンに先駆けて水着を仕入れたり、イベントや祝日の前に関連したテーマ商品を仕入れるなど、従来の春や秋といった季節の変わり目ではなく、ライフスタイルや地域のイベント、祝日などに合わせて商品の入れ替えや新商品の発売を行っています。このような戦略がうまくいくかを確認するためには、過去の商品実績データを調べることが重要で、特に売れなかった商品や在庫不足の商品の情報は、需要動向を把握するのに役立ちます。
顧客の購買パターンと店舗情報を分析することで、現状とニーズのギャップを埋めて、店舗での販売を向上し、ニーズに合った品ぞろえを実現するための新たな一歩を踏み出すことができます。顧客のエクスペリエンスをより深く理解することで、理想だけではなく、予測可能で論理的な実データに基づいて、品ぞろえ戦略を立てることが可能になるのです。
在庫予測のミスが損失を招くことに
消費者のニーズや要望を見誤ることで、ブランドのイメージや利益に大きな影響を及ぼします。例えば、間違った商品を大量に購入すると、在庫を過剰に抱えることになって管理コストが増大し、その過剰在庫のために大幅な値引きを余儀なくされます。また、セール時期を待ってバーゲン品を購入する顧客もいます。逆に、人気商品の在庫が不足すると販売の機会損失となり、その一方で常に在庫切れの状態が続くと、固定客の不満が高まる可能性もあります。
ラグジュアリーブランドの場合、商品の希少性は魅力となりますが、あまりに品薄の状態が続くとブランドの勢いを失うことになり、顧客離れを招きかねません。
プランニングソリューションを使えば、データを使って最適な商品ミックスを考え、どのくらいの数量を、どこに配置すれば最も効果的に利益が得られるかを簡単に導き出することができ、商品在庫の問題を解決することが可能になります。正確なプランニングが可能になれば、商品の売れ行きを正確に把握して、過去のデータを使って効果的に品ぞろえ計画に反映することができます。
データが点在すると、推測で作業を進めることに
データが集約されていないと、推測で戦略を立てることになります。データを収集するには大きな手間がかかりますが、せっかく有能なプランナーを採用しても、スプレッドシートで何時間もデータを整理してもらうだけでは、有能な人材を無駄にすることになります。複雑な業務をこなすための適切なツールを提供できなければ、本来の業務である正確なプランの作成と分析を行うための時間が削られてしまうのです。過去の商品データや販売実績が分からず、プロセスを自動化することもできないため、プランナーやMDは暗中模索の状態で品ぞろえを決定することになります。
膨大なコレクションの何千ものSKUについて、重要な情報を手作業で調べようとすると、データがあふれてしまいます。情報が複数のスプレッドシートで別々の場所に保存されていると、入手が困難になったり、計画に組み込むのに時間がかかったりと、大きな問題になりかねません。さらに、絶えず変化する動きの速いファッションやコンシューマグッズ業界では、品ぞろえ計画が失敗し、それに伴う膨大な損失が発生する可能性があります。
ビジュアルな情報とデータによる最適化
手作業で商品ポートフォリオを作成すると、時間やコストがかかるミスを誘発する可能性が高いため、続けるべきではありません。適切なデータを活用して意思決定を行うことが重要で、AIを使って計画立案のプロセスの大部分を自動化できれば、過去のシーズンのベストセラーや数量に関する膨大な情報を活用することが可能になります。
また一方で、商品ポートフォリオもビジュアルに用意する必要があり、コレクション全体がどのようになっているのか?どのような質感なのか?どのアイテムが足りていないのか?を視覚的に把握することができれば、より簡単に効率的に作業することが可能になります。
現在では、データとビジュアルな情報に基づいて計画を立てられる環境を整えることが重要です。これはプランニングソリューションを探す際に重要な要件となります。
プランニングツールでデータをさらに活用
データを有効活用するためには、企画担当者の業務を効率化することが必要不可欠です。また企業が競争力を保持するためには、様々なシステムも必要です。PLMを使うことで、業務を大幅いに効率化し、商品を予定通りに予算内でリリースすることが可能になりますが、企画担当者、MD、バイヤーが品ぞろえを正確に把握できず、商品を適正な場所に適切な数量でタイミングよく提供できなければ、生産の過剰や値引きが発生し、せっかく開発段階で得られた利益もすぐに目減りしてしまいます。
Centric プランニングソリューションは、ビジネスの目標と連携した品ぞろえ戦略を推進するための基盤となるシステムです。詳細の分析機能とビジュアルなデータを活用することで、品ぞろえ計画や在庫数、在庫配分、補充の精度を向上して最適化することができます。これは、手作業で商品ポートフォリオの最適化を行っていては、実現できません。データに基づかない推測によるプランニングや過剰生産、大幅な値引きをなくすためは、オムニチャネルの時代に対応したAIを使ったパワフルなソリューションが必要です。Centric プランニングは、そのためのソリューションです。